
資金調達の一つ!ファクタリングの3つの問題点とは
ファクタリングは売掛債権を持っていれば、それを譲渡することで早期に資金を調達できます。
「すぐに資金調達、審査も厳しくないって本当なの?」
「こんなに簡単に資金調達できるなんて信じられない。問題点はないのか。」
日本ではファクタリングの存在が広く知られることになったのは最近のことなので、このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ファクタリングは経営者にとって有用な資金調達方法であるのは確かなのですが、もちろん問題点もあります。
そこでこの記事では、ファクタリングの3つの問題点を取り上げ、またその解決策はあるのかを詳しく見ていきましょう。
ファクタリング会社の事業経営における問題点とは
ファクタリングの一つ目の問題点は、業界自体の特性にあります。
通常、資金調達をサービスに持っている会社は貸金業法という法律のもと運営を行っています。
しかし、ファクタリング業者は貸金業法が規定する貸金には分類されておらず、明確な定義がないのが現状です。
上記の貸金業法を紐解いてみます。
まず手形の割引とは、満期前の手形の金額から手数料を差し引いたものを銀行などへ譲渡すること、また、売渡担保とあるのは、売掛金を担保にして融資を行うことです。
この「手形割引」と「売渡担保」両者の中に、売掛金を譲渡するファクタリングの概念は含まれていませんので、ファクタリングは貸金業法でまもられておらず、金融庁の管理下ではないということです。
この状況をいいことに、ファクタリング業界に悪徳業者が入り込んでおり、知らずに利用してだまされてしまう経営者が後と絶たないのです。
悪徳なファクタリング会社の見分け方
ファクタリングを利用する際には、以下の項目は必ずチェックしておくべきです。
1 携帯電話から掛けてくる
固定電話で連絡をしてこないのはオフィスがないか、もしくは仮のオフィスだからです。
今は様々な業種でバーチャルオフィスという、名前貸しならぬ「住所貸し」がよく利用されています。
しかし住所は間借りできるのですが、専用の固定電話は引くことができません。常に携帯電話から連絡してくるファクタリング会社は要注意です。
2 面談をオフィスでしない
優良なファクタリング会社は、基本的には申し込みをしてきた企業の経営者と面談を行います。
まれに申込書の郵送のみで契約に至る優良ファクタリング会社がありますが、通常は面談をするのが基本です。
面談は、経営者の人となりを見たり、実在する会社なのかを確認したりするために行われます。
いわばファクタリング会社側のリスク回避です。
面談は必ずファクタリング会社のオフィスで行われますので、街なかのカフェで面談を行うようなファクタリング会社は間違いなく悪徳業者です。
3 手数料が法外に高い
手数料が異常に高い場合は、悪徳業者を疑いましょう。
それには手数料の相場を知っておく必要があります。
まず、ファクタリング会社と申し込み企業の2社間でファクタリングする場合の手数料相場は、10%~30%です。
たとえば、譲渡したい売掛金が100万円なら、10万円から30万円が手数料として引かれて手元には90万円から70万円が残ります
一方、ファクタリング会社と申し込み企業、そして売掛先との3社間でファクタリングする場合の手数料相場は、1%~5%です。
4 契約書がない、もしくは契約書の内容が薄い
契約書を作成しない業者は必ず悪徳業者です。
優良なファクタリング会社は丁寧で細かい規定に基づき契約書を作成します。
悪徳業者は契約書そのものがないか、あっても内容のほとんどないものです。
5 保証人や担保を要求してくる
ファクタリング契約に保証人や担保は一切必要ありません。
6 審査時の書類の要求がほとんどない
ファクタリングを申し込むと、売掛先の請求書や納品書、入金履歴のある通帳のコピーなど、様々な書類を要求されます。
しかし、悪徳業者は審査をする必要がないので書類を細かく要求することはないでしょう。
ファクタリングは、早期に資金を調達できる優れたサービスですが、貸金業法で守られていないことから悪徳業者が存在するのが問題点です。
資金調達の利用契約が取引業者にばれる場合がある?
ファクタリングの二つ目の問題点として、「取引先に通知が行く」ということです。
これは3社間ファクタリングの特徴で、下図のように売掛債権を譲渡する旨を通知しなければなりません。
この通知をすることによって「資金繰りが悪化しているのでないか」「倒産間近か?」などと疑われることが問題になり、引いては「今後の取り引きを見合わせたい」と言われかねません。
3社間ファクタリングの手数料は1%~5%と非常に安いのですが、この通知が最大のデメリットなのです。
しかし、2社間ファクタリングを利用すると、売掛先への通知は必要ありません。
2社間ファクタリングでは、通常通り売掛先と取り引きを行います。
支払日までにファクタリング会社へ債権を譲渡し、代金を受け取ります。
その後、売掛先から回収したお金をファクタリング会社へ振り込めば契約は完了となり、売掛先へは一切通知が行くことがないのです。
通知が必要ない代わりに、手数料が3社間に比べて10%~30%と高くなるのがデメリットといえます。
債権譲渡にかかる手数料は融資より高い
三つ目のファクタリングの問題点は、手数料(金利)が銀行や公的機関融資と比べて高く設定されていることです。
自己資金が少ない企業の場合、一般的に銀行融資によって資金を調達します。
代表的なところをあげると、日本政策金融公庫は低金利ですし、無担保でも利用可能です。
この日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の金利を見ると、5年以内の返済で基準金利が1.16%、特別金利の場合はさらに下がって0.76%となっており、低金利だということがわかります。(2018年8月10日現在)
一方でファクタリングの場合は、手数料が安いといわれている3社間でも1%~5%、2社間ファクアリングに至っては10%~30%と、非常に高いことがわかります。
ただし、ファクタリングは融資借入とは違って、即日で資金調達ができるというメリットが大きいです。
時間をお金で買っていると思えばそれほどの問題点ではないのかもしれません。
デメリットに注意すればメリットは多い
今回は、ファクタリングについて3つの問題点をあげてきましたが参考になりましたでしょうか。
ファクタリングはまだ問題点が潜んでいるのは確かですが、優良企業を選定し、正しく利用すれば早期に運転資金を調達できる優れたサービスです。
- 悪徳業者を見極める
- 2社間、3社間のファクタリングを自社に都合がよい方を選ぶ
- 手数料リスクを考慮しておく
これらのことに気をつければ、キャッシュフローの改善はすぐそこに見えてくるでしょう。