ヘッジファンドとは?わかりやすく・簡単に・かつ詳細に解説

投資や資産運用を考えたり、情報収集をする中で「ヘッジファンド」を知った人も多いのではないでしょうか。

「ヘッジファンドという名前はよく見るけれど、実際にどういうものなのかよく理解はしていない…」

「利回りが良かったり、儲かりやすいのであればヘッジファンドとは何か詳しく知りたい」

この記事ではそんな方に向けて、ヘッジファンドとはどんなものか、投資に役立つのかをわかりやすく、かつ詳しく説明していきます。

投資や流行りのヘッジファンドについて知りたい方は、ぜひご参考ください。

ヘッジファンドとは?

ヘッジファンドは、高いリターンを目指して様々な投資手法を用いるプライベートな投資ファンドです。

個人投資家や機関投資家に人気があり、多様な運用戦略を駆使して利益を追求するのが特徴です。

では、具体的にどのようなものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

ヘッジファンドとは?わかりやすく・簡単に言うと

ヘッジファンドをわかりやすくいうと「高リターンを追求する、お金持ち向けの投資信託」という感じでしょうか。

投資信託とヘッジファンドは「自身の資金を預けて手数料を払う代わりに、プロに運用を任せて利益を出してもらう」という投資方法・投資商品である点はほぼ同様です。

ただヘッジファンドの場合は専門的な投資手法を駆使し、他の投資商品とは違うアプローチで資産運用を行うことが特徴。

プロの運用者が運営し、一般的な投資信託よりもリスクとリターンが高いことも特徴ですね。

▶ヘッジファンドのポイントまとめ

  • お金持ち向け
  • 基本は投資信託とほぼ同様と考えて良い
  • 投資信託より使える手法が多く、高利回りを出しやすい&目指している

ヘッジファンドの意味・名前の由来

ヘッジファンドの名前は、「ヘッジ(リスク回避)」と「ファンド(投資基金)」の組み合わせから来ています。

しかし、現代のヘッジファンドはリスクを取りながらも、高いリターンを狙う投資戦略を採用することが多いです。

多様な投資手法を用い、相場の変動に柔軟に対応しながら運用することが特徴であり、その柔軟性が投資家に人気の理由となっています。

ヘッジファンドと投資信託の違い

前述したとおり、ヘッジファンドと投資信託はどちらも資産運用の手法ですが、運用方法や対象となる投資家に違いがあります。

投資信託は、多くの個人投資家に向けた商品であり、利回り2~5%程度を目指す、比較的安定した運用と500円程度の少額から始められることが特徴です。。

一方、ヘッジファンドは機関投資家や富裕層を対象にした商品で、リスクとリターンが高いため、投資家側にも専門的な知識が必要です。

また、ヘッジファンドは運用方法が多様であり、個別の銘柄や市場に独自のアプローチを行えることが大きな特徴(ショート・レバレッジの活用が可能)。

投資信託は運用・使える手法に厳しい制限がかけられているため、その点においてはヘッジファンドの方が有利と言えるでしょう。

投資信託ヘッジファンド
運用方針比較的安定した運用
(相対収益)
(高利回りを目指す)
絶対収益
投資対象株・債券など伝統的資産オプション・先物・仮想通貨など多岐にわたる
投資手法厳しい制限あり自由な運用が可能
対象投資家一般投資家個人富裕層・機関投資家
成功報酬無し
自己資本投資無し
レバレッジ基本的に無し可能
最低投資金額100円~1000万円以上が多い

ヘッジファンドの歴史と現在の状況

ヘッジファンドの歴史は、1949年にアルフレッド・ウィンザー・ジョーンズが最初のヘッジファンドを設立したことに始まります。

その後、経済のグローバル化や金融市場の発展と共にヘッジファンドは成長しました。

現在、世界には数千ものヘッジファンドが存在し、投資家から多くの資金が集まっています。

また、金融危機や経済変動に対しても柔軟に対応できることから、投資家の支持を受けています。

ヘッジファンドの特徴まとめ

さて、ここまで読んでヘッジファンドについて、ざっくりわかったという方も多いのではないでしょうか。

ここでヘッジファンドの特徴を一度まとめておきましょう。

  1. 高いリターンを目指す
  2. 多様な投資手法を用いる
  3. 富裕層や機関投資家を対象とする
  4. 運用方法が柔軟で市場変動に対応可能

ヘッジファンドは、リスクとリターンが高い投資商品であることから、興味を持つ投資家も多いです。

しかし、そのリスク性から十分な知識がなければ適切な投資判断ができないため、専門家に相談することが重要です。

ヘッジファンドの世界は魅力的ですが、リスク管理をしっかりと行いながら、賢い投資を行いましょう。

ヘッジファンドのメリット・デメリット・注意点

続いてヘッジファンドのメリット・デメリット・注意点も見ていきましょう。

ヘッジファンドは高いリターンを目指す投資商品ですが、リスクも伴います。

その対策のためにも、ヘッジファンドのメリットとデメリット、注意点について詳しく解説していきます。

メリット

ヘッジファンドには多くのメリットがありますが、主なものを挙げると以下の3つです。

  • 高いリターンの可能性
  • 絶対収益重視
  • 市場の動きについていきやすい(手法が自由)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

高いリターン・高利回りの可能性がある

ヘッジファンドは、多様な投資手法を用いて高いリターンを目指すため、他の投資商品に比べて高い利回りが期待できます。

また、ヘッジファンドは投資信託と違い、運用方法の制限もほとんどないため、運用者(ファンドマネージャー)が独自の戦略を立てることができます。

この独自の戦略・制限のない自由な投資手法がヘッジファンドの高利回りの大きな理由のひとつといえるでしょう。

上げ・下げ相場に関わらず利益が狙える絶対収益重視

ヘッジファンドは、相場の上昇・下降に関わらず利益を狙う絶対収益重視の戦略を採用しています。

詳細は後述しますが、ヘッジファンドではショートも行えるため、市場が不安定な時期でも利益を出すことが可能です。

一方、投資信託は「相対収益」という方針で運営されていて、こちらは相場に引っ張られる傾向が強く、下げ相場の際は利益が出にくい特徴があります。

上げ相場・下げ相場のどちらでも利益を狙えることも、ヘッジファンドの大きなメリットといえるでしょう。

運用のアクティブ・活発なので市場の動きについていきやすい

ヘッジファンドは、運用がアクティブであり、市場の変動に素早く対応できることが特徴です。

そのため、タイミングが重要な投資であることを考慮すると、ヘッジファンドは魅力的な選択肢と言えます。

さらに、運用者が経験豊富であれば、市場の変化を的確に捉えて投資戦略を立てることができます。

ヘッジファンドのメリットは総じて、「自由な投資手法」から理由になっているものが多いと言えるでしょう。

制限の多い投資信託との大きな違いでもあります。

デメリット・注意点

ここまで見てきた通り、ヘッジファンドには多くのメリットがある一方で、デメリットや注意点も多く存在します。

  • 投資額が高い
  • 情報が非公開であることが多い
  • 投資家に制限がある

上記が主なデメリット・注意点といえるでしょう。

それぞれ詳しく見ていきます。

基本的には高い投資額が必要

ヘッジファンドは、一般的に高い1000万円以上の投資額が必要といわれています。そのため、資金力がある機関投資家や富裕層が主な投資対象となります。

しかし、最近では個人投資家向けのヘッジファンドも登場しており、以前ほどは資金力を要求しなくなった面もあります。

とはいえ、どんなに少なくとも100万円以上とは考えておきましょう。

情報が非公開のことが多く不透明な部分が多い

ヘッジファンドは運用戦略や投資先が非公開であることが多く、情報が不透明な部分が多いです。

そのため投資家目線では、十分な情報収集や独自の判断が求められます。

また、信頼できる運用者やファンドを選ぶことが重要であり、口コミや専門家の意見を参考にすることが必要なので、「情報の集めにくさ」はヘッジファンドのデメリットといえるでしょう。

投資家の制限がある

ヘッジファンドは、対象となる投資家に制限があります。一般的には、富裕層や機関投資家が対象となり、個人投資家は参加が難しいケースが多いです。

しかし前述した通り、最近では個人投資家向けのヘッジファンドも登場しているため、興味がある方は情報を調べてみると良いでしょう。

ヘッジファンドは、高いリターンを目指す一方で、リスクも伴う投資商品です。

そのため投資を検討する際は、メリット・デメリット・注意点を理解し、自分に合った投資を行うよう、心がけるのがおすすめです、

ヘッジファンドの手数料の仕組み

次はヘッジファンドの手数料について見ていきましょう。

ヘッジファンドの手数料には、主に「管理手数料」と「成果報酬」が存在し、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

ここでは、具体例と計算シミュレーションを交えて、ヘッジファンドの手数料について解説します。

必ず支払う管理手数料

管理手数料は、ヘッジファンドの運用会社が投資家から受け取る固定費用です。

この手数料は、運用会社がヘッジファンドを管理・運用するために必要な経費をカバーするもので、投資額に応じた一定の割合で計算されます。

一般的に、年率1〜2%程度が設定されており、投資家は運用成績に関わらず毎年この手数料を支払うことになります。

例えば、1000万円をヘッジファンドに投資した場合、年率2%の管理手数料が適用されると、毎年20万円の手数料が発生します。

利益に応じて支払う成果報酬

成果報酬は、ヘッジファンドが達成した利益に対して運用会社が受け取る手数料です。

投資家に利益がもたらされた場合にのみ支払われる報酬であり、運用会社のインセンティブとなっています。

一般的には、達成された利益の20%程度が設定されており、ヘッジファンドが高いリターンを上げることができれば、運用会社にとっても大きな収益となります。

これにより、運用会社は投資家の利益追求に注力し、より良い運用戦略を展開することが期待される、という仕組みです。

例えば、前述の1000万円投資で、その年の運用成績が20%の利益(200万円)を上げた場合、成果報酬として運用会社に40万円(200万円×20%)が支払われます。

ヘッジファンドの選び方

ヘッジファンドは多種多様な運用戦略が存在するため、選び方が難しいと感じる方も多いでしょう。

しかし、適切なヘッジファンドを選ぶことで、ポートフォリオのリスク分散やリターン向上が期待できます。

ここでは、ヘッジファンドを選ぶ際のポイントを詳しくみていきましょう。

ヘッジファンドを選ぶ際のポイント

適切なヘッジファンドを選ぶためには、いくつかのポイントに注意して選択を行うことが重要です。

主要なポイントは以下の通りです。

  • 運用実績とリターン
  • 運用戦略の明確さ
  • ポートフォリオや投資先が分散されているか
  • 投資家の制限やリスク管理の方法

それぞれひとつずつ詳しく見ていきましょう。

運用実績とリターン

まず、ヘッジファンドの運用実績とリターンに注目しましょう。

運用実績が良好であれば、そのヘッジファンドが投資家に利益をもたらす能力があることを示しています。

過去のリターンや平均利回り、他のファンドと比較してどれくらいのパフォーマンスがあるかをチェックしておくとよいでしょう。

運用戦略の明確さ

次に、運用戦略の明確さも重要です。ヘッジファンドがどのような投資手法や分析手法を用いているかを理解することで、そのファンドが自分の投資目的やリスク許容度に適しているかを判断しやすくなります。

運用戦略・投資手法は難しいことも多く、必ず理解する必要があるわけではないですが、自分の資産を投じる以上、可能な範囲で情報収集・勉強を行うとよいでしょう。

ポートフォリオや投資先が分散されているか

また、ポートフォリオや投資先が分散されているかどうかもチェックしましょう。投資先が分散されていることで、リスク分散が期待でき、市場変動に対して安定したリターンを追求することが可能となります。

一点集中型の投資の場合、高利回りを狙いやすい反面、リスクもやはり高くなってしまいます。

どのようにリスクヘッジをしているのか、投資先を分散しているのかは確認してみると良いでしょう。

投資家の制限やリスク管理の方法

最後に、投資家の制限やリスク管理の方法について調べておきましょう。ヘッッジファンドには一部制限があるものがありますので、自分が投資可能なファンドかどうかを確認することが重要です。

また、前述した通り、リスク管理の方法についても理解しておくことで、投資の安全性を確保することができます。

これらのポイントを押さえることで、自分に適したヘッジファンドを見つけることができます。

投資の目的やリスク許容度に応じて、最適なヘッジファンドを選ぶことが、投資成功への鍵となります。専門家やファイナンシャルアドバイザーと相談し、総合的な判断の手助けをしてもらうのも良い手といえるでしょう。

ヘッジファンドの将来性

次に、ヘッジファンドの将来性について見てみましょう。

結論からのベルト、ヘッジファンドは多様な運用戦略を活用して高いリターンを目指す投資手法として、今後も市場での存在感を維持すると考えられます。

ヘッジファンドの今後の展望と課題について少しみてみましょう。

ヘッジファンドの今後の展望

ヘッジファンドは、金融市場の動きに素早く対応し、機会を逃さない運用が可能であるため、投資家からの注目は高まり続けています。

また、新たなテクノロジーや人工知能(AI)を活用した運用方法も登場し、効率的なリスク管理や投資判断ができるようになりました。

これらの要因と高利回りが期待できることから、ヘッジファンドは今後も投資市場において競争力を維持し、成長が期待されます。

ヘッジファンドの今後の課題

一方で、ヘッジファンドは非公開情報が多く、投資家からの信頼性や透明性に課題があります。

これらに対処するために、運用会社は情報開示の向上や、コンプライアンスの徹底に努めることが求められているのが現状でしょう。

また、市場の競争が激化する中で、運用実績を維持・向上させることもヘッジファンド側目線での課題となります。

そのため、運用戦略の柔軟な見直しや、新たな投資機会を捉えるための研究開発への投資が必要です。

これらの課題に取り組む流れで、ヘッジファンドの投資手法・投資戦略はさらに研究されることに加えて、ヘッジファンド同士の競合・顧客の取り合いもより激しくなっていくと考えられるでしょう。

まとめ

本記事では、ヘッジファンドについて、そのメリットやデメリット、注意点を解説しました。

また、ヘッジファンドの手数料の仕組みや選び方、将来性についても詳しく述べました。

ヘッジファンドは高いリターンを目指す投資手法であり、運用戦略の多様性や市場の動きに素早く対応できることが特徴です。

ただし、投資額が高く、情報が非公開のことが多いため、選ぶ際には慎重な判断が求められます。

運用実績やリスク管理の方法などを確認し、自分に適したヘッジファンドを選ぶことが大切です。

これらの情報を参考に、ヘッジファンド投資を検討してみてください。

補足情報:ヘッジファンドの投資戦略

前述した通り、ヘッジファンドは多様な投資戦略を活用し、市場の動きに迅速に対応することが特徴です。

ここでは補足情報として、主要なヘッジファンドの投資戦略をかんたんに紹介していきます。

ロング・ショート

ロング・ショート戦略は、銘柄の価格が上昇すると予想されるものを買い(ロング)、下落が予想されるものを売り(ショート)することで利益を狙う戦略です。

市場の上下動に対応でき、相対的なリターンを重視します。この戦略では、銘柄選択やタイミングが重要であり、運用者のスキルが大きく影響します。

投資信託ではショートは基本的には使えないので、その点ではヘッジファンドが有利に行える投資手法といえるでしょう。

マーケットニュートラル(両建て)

マーケットニュートラル戦略は、市場の変動リスクを抑制しながら利益を狙う戦略です。

ロング・ショート戦略と同様に、上昇する銘柄をロングし、下落する銘柄をショートしますが、ロングとショートのポジションを等価に保つことで、市場全体の動きから影響を受けにくくします。

いわゆるFXなどで行われる「両建て」と同じ、と考えていただければイメージしやすいかもしれません。

両建ては応用性の高い手法なので、これが使えるヘッジファンドは投資信託と比べるとやはり有利といえるでしょう。

イベントドリブン戦略

イベントドリブン戦略は、企業の特定のイベント(M&A、株主総会、財務報告など)をきっかけに価格変動が発生することを予想し、利益を狙う戦略です。

イベントの発生や結果を正確に予想することが重要で、ファンダメンタル分析や市場動向の理解が求められます。

ヘッジファンドはアクティベストファンド(株主総会における議決権行使などを積極的に行う投資ファンド)としても活動できるので、イベントドリブン戦略とも相性がよいといわれています。

グローバル・マクロ戦略

グローバル・マクロ戦略は、世界的な経済情勢や政策などマクロ要因を分析し、通貨、債券、株式など幅広い資産クラスに投資する戦略です。

為替や金利の変動を利用して利益を狙い、リスクの分散が可能です。

多くの知識と世界情勢の把握が必要なため、運用者の広範な知識と経験が重要となる戦略です。

バリュー株投資

バリュー株投資は、割安と判断される銘柄を選び、その価値が再評価されることを期待して投資する戦略です。

ファンダメンタル分析を用いて企業の実質的な価値を評価し、市場価格が適正価格に戻ることを狙います。

比較的、長期的な視点が求められる投資方法といわれています。

アービトラージ戦略

アービトラージ戦略は、異なる市場や取引所で同じ資産の価格に差が生じた場合に、低い価格で購入し、高い価格で売却することで利益を得る戦略です。

スピードが重要であり、リアルタイムの情報や最新の技術が必要とされます。リスクは比較的低いものの、利益の機会も限定的です。

マネージドフューチャーズ戦略

マネージドフューチャーズ戦略は、商品や金利、株価指数などの先物取引を活用して投資を行う戦略です。

トレンドフォロー型や反トレンド型など、さまざまな手法がありますが、適切なリスク管理や先物取引の知識が必要で、運用者の経験が大きく影響する戦略です。

マルチ・ストラテジー戦略

マルチ・ストラテジー戦略は、複数の投資戦略を組み合わせて運用する戦略です。

ロング・ショート、マーケットニュートラル、イベントドリブンなど、さまざまな戦略を組み合わせることで、リスクの分散やリターンの最適化を狙います。

ヘッジファンド毎に得意な投資手法・戦略で利益を狙うのは当然ですが、経験豊富なファンドマネージャーがマルチ・ストラテジー戦略にて、安定性と高利回りを維持しているケースも多々あるようです。

(監修/EITO合同会社