この記事では「ビットコインFX(仮想通貨FX)の税金」について紹介していきます。
近年、仮想通貨の流行とともに、ビットコインFXの取り扱いを始める海外FX業者も増えてきました。
ただ、ビットコインFXの人気が増えてくる一方で、気になるのはその利益にかかる税金ではないでしょうか。
そこでこの記事では、ビットコインFXの税金について以下の内容を中心に紹介していきます。
ビットコインFXの税金計算や確定申告に役立つおすすめツールも紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
ビットコインFX(仮想通貨FX)の税金の仕組み
まずは、ビットコインFX(仮想通貨FX)の税金の仕組みについて簡単に解説していきます。
- 課税区分:総合課税
- 税率:累進課税
- 所得区分:雑所得
- ビットコインFXで確定申告が必要な人
税金の仕組みは複雑で分かりにくい場合が多いですが、できるだけ簡単に解説していくので一緒に確認していきましょう。
課税区分:総合課税
ビットコインFX(仮想通貨FX)の課税区分は、「総合課税」と呼ばれる区分に分類されます。
【総合課税とは】
他の所得と合算した所得に対して税率が決まる課税方式のこと。
海外FXも総合課税の課税区分に分類される
一方、国内FXや株式投資の課税方式は「申告分離課税」と呼ばれる区分に分類されます。
課税区分によって、所得に対して課せられる税率が変わってくるので確認していきましょう。
税率:累進課税
総合課税の課税区分であるビットコインFX(仮想通貨FX)の税率は、所得が増えるほど税率が上がる「累進課税制」で決められています。
累進課税制での、所得額に対する税率の関係はこちらです。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超〜4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超〜 | 45% | 4,796,000円 |
また、累進課税制では所得金額に応じて控除額も定められているので確認しておきましょう。
ビットコインFXの課税制度は「総合課税」ですので、課税される所得金額は他の所得と合算した所得に対して課せられます。
ビットコインFXだけの利益で税率が決まるわけではないので注意しましょう。
所得区分:雑所得
ビットコインFX(仮想通貨FX)の所得区分は、「雑所得」に分類されます。
雑所得とは、10種類の所得区分のうち利子所得から一時所得までのいずれにも該当しない所得のことをいいます。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
ビットコインFXは総合課税ですので、他の所得と合算した所得額で税率が決まります。
そのため、別の所得で損失が出た場合には損失と利益を相殺することで所得額を下げて税金を軽減する「損益通算」が可能というメリットがあります。
ただし、損益通算ができるのは「雑所得」内の所得だけで、国内FXでの利益とは損益通算できないことには注意しましょう。
ビットコインFX(仮想通貨FX)と損益通算できる雑所得には、以下のようなものがあります。
- ビットコインFX(仮想通貨FX)
- 海外FX(XMやFXGTなど)
- インターネット販売(メリカリ・ヤフオク)
- アフィリエイト
確定申告の際には、損益通算を利用して税金をできるだけ抑えるようにしましょう。
ビットコインFXで確定申告が必要な人
ビットコインFX(仮想通貨FX)をやっていても、全ての人で確定申告が必要なわけではありません。
確定申告をして税金を支払う必要が有るのは、ビットコインFXで以下の条件を満たす人だけです。
- 給与所得のある人:ビットコインFXで年間20万円以上の利益
- 非給与所得者:ビットコインFXで年間38万円以上の利益
給与所得者は、主にサラリーマンの方が該当します。
一方非給与所得者とは、個人事業主やフリーランス、専業トレーダーの方などを指します。
ビットコインFXで利益が出てきたら、確定申告が必要かどうかは早めに確認しておきましょう。
海外FX
オンライン
ビットコインFXの課税タイミング
ビットコインFX(仮想通貨FX)では、基本的にはポジションを利確したタイミングで課税の対象となります。
一方、ビットコインの現物取引の課税タイミングは少し分かりにくいので確認していきましょう。
- ビットコインを売却したタイミング
- 他の通貨に交換したタイミング
- ビットコインで買い物をしたタイミング
ビットコインを売却したタイミング
ビットコインは、保有しているビットコインを売却したタイミングで課税対象となります。
そのため、ビットコインを購入して保有しているだけでは課税されることはありません。
ビットコインを保有していて税金を払いたくない場合は、売却を確定申告の時期から少しずらしても良いかもしれません。
他の仮想通貨に交換したタイミング
購入したビットコインを、他の仮想通貨に交換したタイミングでも税金がかかります。
たとえば、ビットコインをイーサリアムに交換して利益が発生した場合には課税対象となります。
日本円への交換だけではなく、他の仮想通貨に交換した場合にも課税対象となることにも注意しておきましょう。
ビットコインで買い物をしたタイミング
ビットコインでは、買い物をしたタイミングでも税金がかかることには注意が必要です。
ビットコインは、決済通貨としても利用できるので商品の購入にも使えます。
しかし、ビットコインでの支払い時の価格がビットコイン購入時の価格よりも高くなっていた場合は税金が発生します。
海外FX
オンライン
ビットコインの利用時には、購入時からの価格の変化には注意しておきたいですね。
仮想通貨FXと国内FXの税金の違い
次に、仮想通貨FX(ビットコインFX)と為替FXの税金の違いを確認していきましょう。
ここでは、税制と計算方法の違いについて確認していきましょう。
税制の違い
ビットコインFXの(仮想通貨FX)と為替FX(国内・海外)の税金制度の違いは以下のとおりです。
投資の種類 | 課税区分 | 所得の種類 |
---|---|---|
仮想通貨FX(海外) | 総合課税 | 雑所得 |
仮想通貨FX(国内) | 総合課税 | 雑所得 |
為替の海外FX | 総合課税 | 雑所得 |
為替の国内FX | 申告分離課税 | 雑所得 |
ビットコインFX(仮想通貨FX)の所得区分は、海外、国内ともに総合課税の雑所得に分類されます。
海外FX
オンライン
総合課税の所得にかかる税率は「累進課税」でしたね。
一方、為替FXの税制は国内・海外でそれぞれ異なります。
海外FXの課税区分はビットコインFXと同じ「累進課税」ですが、国内FXの課税区分は「申告分離課税」になります。
申告分離課税の税率は、一律20%ですのでFXでの利益が増えても税率は変わりません。
海外FX
オンライン
ご自身の所得で税率がいくらになるのか確認してみましょう。
税金計算方法の違い
ビットコインFX(仮想通貨FX)と国内FXでは税金制度が異なるため、税金の計算方法も異なります。
そこでここでは、ビットコインFX・海外FX・国内FXで利益が出ている場合の税金を計算してみましょう。
- 給与所得:700万円
- 仮想通貨FXでの利益:100万円
- 為替の海外FXでの利益:50万円
- 為替の国内FXでの利益:20万円
所得税は、「所得税 = 所得額 × 税率」の式で計算できます。
海外FX
オンライン
まずは総合課税の所得税を計算していきましょう。
総合課税の対象は「給与所得」「仮想通貨FX」「為替の海外FX」ですので、課税所得額は以下のとおりです。
= 700万円(給与所得) + 100万円(仮想通貨FX) + 50万円(為替の海外FX)
= 850万円
課税所得額が850万円となりましたが、この時の税率を確認すると所得税率は23%、控除額は636,000円ですね。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超〜4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超〜 | 45% | 4,796,000円 |
課税所得額に税率をかけて控除額を差し引くと、所得税の金額は以下のようになります。
総合課税の所得税
= 850万円(課税所得額) × 23%(所得税率) – 636,000円(控除額)
= 1,319,000円
海外FX
オンライン
次に申告分離課税の所得税(所得額 × 税率)を計算していきましょう。
今回の例で申告分離課税の対象になるのは「為替の国内FX」のみです。
= 20万円(為替の国内FX) × 20%
= 40,000円
国内FXの所得税は40,000円と計算できました。
総合課税の所得税と、申告分離課税の所得税を合算すると以下のようになります。
= 1,319,000円(総合課税の所得税) + 40,000円(申告分離課税の所得税)
= 1,359,000円
今回の計算条件では、870万円の所得に対して1,359,000円の所得税がかかるという結果になりました。
ご自身の収入や所得についても計算してみてください。
ビットコインFXの税金計算方法【実例】
この章では、ビットコインFX(暗号資産FX)の税金についてより実例に近いケースでの計算方法を解説していきます。
- ビットコインを全て利確したケース
- ビットコインの一部を利確したケース
- ビットコインを全て損失確定させたケース
- ビットコインの一部を損失確定させたケース
- 仮想通貨同士を売買したケース
いずれのケースでも、まず所得額を算出してから所得税を計算していきます。
所得税の計算における税率と控除額は、総合課税の税率の表を参考にしてください。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超〜4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超〜 | 45% | 4,796,000円 |
ビットコインを全て利確したケース
例えば、1BTC = 500万円のときに3BTCを購入し、1BTC = 600万円のときに全て売却すると、
- 購入時に払った額 = 500万円 × 3 = 1,500万円
- 売却時に受け取った額 = 600万円 × 3 = 1,800万円
となりますので、
= 1,800万円(売却時に受け取った額) – 1,500万円(購入時に払った額)
= 300万円
= 300万円(所得額) × 10%(税率) – 97,500円(控除額)
= 202,500円
と算出されます。
ビットコインの一部を利確したケース
次に一部を利確したケース、例えば1BTC = 500万円のときに3BTCを購入し、1BTC = 600万円のときに2BTC売却した場合の税金を計算してみましょう。
最初に購入したビットコインは3BTCですが、課税対象になるのは利確した2BTC分の利益だけですので、2BTCだけに着目して所得額を算出します。
すると、
- 2BTCの購入に払った額 = 500万円 × 2 = 1,000万円
- 2BTCを売却して受け取った額 = 600万円 × 2 = 1,200万円
となりますので、
= 1,200万円(2BTCを売却して受け取った額) – 1,000万円(2BTCの購入に払った額)
= 200万円
= 200万円(所得額) × 10%(税率) – 97,500円(控除額)
= 102,500円
と算出されます。
ビットコインを全て損失確定させたケース
損失確定した場合、この取引単独では利益が発生していないため税金はかかりません。
ただし、年間の合計損益がプラスの場合には、税金がかかりますのでご注意ください。
ビットコインの一部を損失確定させたケース
保有しているビットコインの一部を損失確定させた場合も、利益が発生していないため課税されません。
ですが、全て損失確定させた場合と同じく、年間を通じての損益がプラスの場合は税金が発生するので気をつけましょう。
仮想通貨同士を売買したケース
最後に、日本円で購入したビットコインを日本円以外の仮想通貨に換えた場合にかかる税金の計算方法をご覧ください。
この場合、日本円以外の仮想通貨を日本円に換算した金額が、ビットコイン購入時に払った日本円より大きければ課税対象になります。
例えば1BTC = 500万円のときに3BTCを購入し、1BTC = 600万円のときにこのビットコインで1枚 = 100万円のAコインを6枚購入した場合の税金を計算してみましょう。
最初に購入したビットコインは3BTCですが、課税対象になるのはAコインの購入に払ったビットコイン分の利益だけです。
Aコインの購入に払ったビットコイン
= 100万円 × 6枚 ÷ 600万円 = 1BTC
よって、1BTCだけに着目して課税対象額を算出することになりますね。
すると、
- 1BTCの購入に払った日本円 = 500万円 × 1 = 500万円
- 購入したAコイン12枚の日本円換算額 = 100万円 × 6 = 600万円
となりますので、
所得額
= 600万円(購入したAコイン12枚の日本円換算額) – 500万円(1BTCの購入に払った日本円)
= 100万円
所得税
= 100万円(所得額) × 5%(税率) – 0円(控除額)
= 50,000円
と算出されます。
以上、様々なケースにおけるビットコインFXの税金計算方法でした。
しかし計算方法が分かったとしても自分で毎回計算するのは非常に面倒ですよね。
そこで次章では、ビットコインFX(仮想通貨FX)での税金計算・確定申告に便利なツールをいくつか紹介します。
ビットコインFX・の税金計算・確定申告に便利なツール3選
この章では、ビットコインFX(仮想通貨FX)の税金計算・確定申告に便利なツールを3選紹介していきます。
- Guardian
- CryptoLinC
- Freee
それぞれの特徴を解説していくので、ご自身で使いやすい税金計算ツールを見つけてみてください。
Guardian(ガーディアン)
Guardian(ガーディアン)は仮想通貨の税務知識に精通した税理士を厳選して紹介してくれるサービスです。
仮想通貨の税金計算は手間がかかりますが、Guardianでは所得の計算はもちろん、確定申告書の作成までサポートしてくれますよ。
また、取引履歴をCSVファイルなどで取得できる取引所なら、国内外問わずあらゆる取引所に対応しています。
Guardianは価格も一般的な税理士事務所の依頼料より安価なため、使用候補の一つとして検討してみても良いでしょう。
CryptoLinC(クリプトリンク)
CryptoLinC(クリプトリンク)は、確定申告用の取引計算を行うツールで、なんと無料で使うことができます。
しかも取引データを連携すれば、使用している複数の取引所の資産状況を一括管理することもできますよ。
どうしても自分で計算するのが面倒臭いという方には、有料で計算代行を行ってくれるプランも用意されています。
対応している取引所は32社と十分に多く、海外取引所にも対応しているのは嬉しいですね。
Freee(フリー)
freee(フリー)は、フリーランスや個人事業主の方々に多く利用されている会計ソフトですが、仮想通貨の計算に特化した専用ソフト「freee for 仮想通貨」を用意しています。
「freee for 仮想通貨」では取引データを取り込めば税金計算・確定申告書の作成まで自動で行ってくれる上、「freee」と連携することもできますよ。
他の副業などで「freee」を使ってきた人にとって、慣れた画面で一括して管理できるのは非常にありがたいですよね。
ビットコインFXの税金に関するよくある質問
最後に、ビットコインFX(仮想通貨FX)に関するよくある質問に回答していきます。
- ビットコインFXの利益に税金はかかる?
- ビットコインFXの利益の所得分類は?
- ビットコインFXでは持っているだけでも税金はかかる?
- ビットコインFXの利益は損益通算できる?
- ビットコインFXの利益は繰越控除できる?
ビットコインFXの利益に税金はかかる?
ビットコインFX(仮想通貨FX)での合計利益が年間20万円を超えた場合には、税金がかかります。(非給与所得者は38万円以上)
その場合、確定申告が必要になりますので必ず行ってください。
ビットコインFXの利益の所得分類は?
ビットコインFX(仮想通貨FX)の利益の所得区分は「雑所得」です。
ただし、課税区分は為替の国内FXのように「申告分離課税」ではないので、税率は固定の20%ではありません。
ビットコインFXの課税区分は「総合課税」として他の所得と合算され、しかも所得額に応じて税率が変わる「累進課税制」となっています。
稼げば稼ぐほど税金も多くかかりますので注意しましょう。
ビットコインFXでは持っているだけでも税金はかかる?
いいえ、ビットコインを保有しているだけでは税金がかかることはありません。
ビットコインFXで税金がかかるのは、ポジションを決済したときです。
また、ビットコインを現物で持っている場合には、ビットコインを売却して日本円を受け取ったときに加え、以下の場合にも税金がかかりますので気をつけてください。
- ビットコインを日本円以外の通貨に替えたとき
- ビットコインで買い物をしたとき
ビットコインFXの利益は損益通算できる?
ビットコインFX(暗号資産FX)での利益は雑所得なので、他の所得との損益通算はできません。
しかし、同じ雑所得同士での損益通算は可能です。
例えば、為替の海外FXでの損益は雑所得なので、ビットコインFXでの利益と損益通算ができますよ。
ビットコインFXの利益は繰越控除できる?
ビットコインFX(仮想通貨FX)の利益は繰越控除することはできません。
ビットコインFXでの損失は、雑所得同士で損益通算ができること以外にはありませんので、なるべく損失を出さないようにしましょう。
まとめ
改めて、ビットコインFX(仮想通貨FX)の税金についておさらいしましょう。
- 利益が年間20万円超えたら課税される
- 利益が増えるにつれて税率が上がる
- 課税されるタイミングは利確した時
- 他の所得と合算して課税される
- 損益通算は雑所得同士でのみ可能
- 繰越控除はできない
ご覧のとおり、ビットコインFXでの利益も20万円を越えると税金がかかり、確定申告を行わなければなりません。
間違った申告をして余計なトラブルに巻き込まれないためにも、ビットコインFXにかかる税金の課税区分などの各種ルールや計算方法をしっかり把握しておきましょう。
正確な確定申告書の作成に自信がなければ、紹介したような計算ツールやサービスも活用してみてください。
海外FXの確定申告のやり方や書類の書き方については以下の記事でも詳しく解説しています。
確定申告の手続きが不安な場合は早めに税理士に相談しておきましょう。