「でんさいを断る理由や断り方が知りたい」
「でんさいのメリットとデメリットは?」
「手数料がかかるなら導入したくない」
債権を電子化した「でんさい」は、売掛債権の管理をインターネット上で行えるメリットがある反面、自社と取引先の双方がシステムを導入していないと利用できないというデメリットもあります。
本記事では、でんさいのメリットやデメリット、取引先から導入を依頼された場合の断り方(断る理由)の例文などを紹介します。約束手形は2026年度末に廃止予定です。システムを導入するか悩んでいる経営者や経理担当者はぜひ参考にしてください。
なお、総合的に評価されている人気のファクタリング会社については、ファクタリングおすすめランキングにて詳しく解説しています。
目次
でんさいとは電子記録債権のこと
でんさいとは電子記録債権の略で、請求書や手形、小切手を電子化して金銭債権のペーパーレス化を実現したサービスです。
でんさいができるまでは、現金の代わりに手形や売掛などの方法が採用されており、手形の発行や手続きなどに手間がかかっていたのが課題でしたが、これを解消したのがでんさいです。
でんさいの断り方や断る理由は?
取引先からでんさいの導入を依頼されたけど、自社ではメリットが見いだせず、デメリットの方が多いと感じる場合もあるかもしれません。
この場合、でんさいの導入を断る理由や断り方に悩む方もいるのではないでしょうか。
しかし、従来の約束手形は2026年度末までに廃止される予定です。経済産業省の「取引適正化に向けた5つの取組」の中で「 約束手形の2026年までの利用廃止への道筋」が公表されています。
参考:「取引適正化に向けた5つの取組」を公表しました。 (METI/経済産業省)
断り方・断る理由 メール例文
約束手形は2026年までに廃止されますが、どうしても断りたい方向けにでんさい導入を断る理由や断り方のメール例文を記載しますので活用してください。
でんさい導入のメリット【支払い企業】
支払い企業がでんさいを導入するメリットは次の通りです。
- 事務手続きを簡略化できる
- 支払いを効率化できる
- コストを削減できる
それぞれ詳しく解説します。
事務手続きを簡略化できる
でんさい(電子記録債権)システムにより、従来の紙ベースの取引に伴う煩雑な手続き、例えば押印などの時間を要する作業は不要になります。
さらに、手形や小切手の発行といった従来の支払手段に関わる複雑な作業や、振替に必要な準備プロセスも大幅に簡素化されます。
でんさいは取引情報を電子的に記録することで、データの集計と管理をより効率的に行えるように設計されています。
結果として、企業は支払いや受取りに関するデータを迅速に処理し、例えば債権が発生した際には、関連する金額や期日を即座に確認できる柔軟性を得ることができます。
でんさいによって、会計作業の事務手続きを簡略化でき、時間削減と精度の向上が期待できるでしょう。
支払いを効率化できる
多くの企業が取り扱う支払い手段には、手形、掛け取引、前払いなど、多様な方法が存在します。
これらの支払いをそれぞれ異なる方法で処理するのは、管理上非常に複雑で手間のかかる作業です。
しかし、でんさい(電子記録債権)システムを導入することにより、これら複数の支払い方法を統一し、一つの効率的なプロセスに集約することが可能になります。
その結果、支払いプロセスがスムーズになり、企業はより迅速に取引を進めることができるようになるでしょう。
コストを削減できる
でんさいはインターネットを通じた手続きと決済を可能にし、手形のように印紙税がかからない非課税の電子記録債権です。
人件費を含む支払い関連のコストも削減できます。
これまでの説明は支払いを行う企業の利点に焦点を当ててきましたが、納入企業がでんさいを利用するメリットについても見てみましょう。
でんさい導入のメリット【納入企業】
納入企業がでんさいを導入するメリットは次の通りです。
- 取立手続きが不要になる
- 紛失・盗難リスクを軽減できる
- 譲渡や分割が可能になる
それぞれ詳しく解説します。
取立手続きが不要になる
手形や売掛金を使用した場合、支払いの取立てが必要ですが、でんさいを利用すればこの手続きは不要になります。
支払期日には自動で金融機関の口座に入金されるためです。
紛失・盗難リスクを軽減できる
でんさいはオンラインで取り扱われるため、紛失や盗難のリスクがありません。
対照的に、手形は物理的な管理が必要であり、金庫などで厳重に保管する必要がありますが、でんさいはインターネットにアクセスできる限り、そのようなリスクは心配無用です。
譲渡や分割が可能になる
でんさいを利用することで、金銭債権の分割や譲渡が可能になります。これにより、債権を効率的に活用でき、会社の資金繰りを改善することができます。これは経営上の大きな利点となります。
でんさいのデメリットとは
ここまで、でんさいを導入するメリットを解説してきました。
本章では、でんさいが抱えるデメリットを以下の点に沿って解説します。
- 取引先も導入している必要がある
- すべての取引先が切り替わらないと会計処理が煩雑
- システム利用料・手数料がかかる
- 導入後は会計処理手続きの変更が必要
- 手形の場合は貸し倒れリスクが残る
取引先がでんさい非対応
でんさいの大きなデメリットの一つは、取引先がでんさいに対応していない場合や、異なるシステムを使用している場合は利用できない点です。
支払いを行う企業と受け取る企業の両方がでんさいを導入している必要があります。
ですから、自社が積極的にでんさいを活用したいと考えても、取引先が同じシステムを採用していない場合は、でんさいに売掛金や手形を登録することはできません。
すべての取引先が切り替わらないと会計処理が煩雑
でんさいの導入に際しては、会計処理手続きの変更が必要となり、この過渡期においては会計処理が煩雑になることが予想されます。
以前は手形や売掛金で行っていた処理が電子記録に移行するため、従業員は新しいシステムに慣れるまで戸惑うかもしれません。
また、すべての取引先が同時にでんさいを採用するとは限らないため、一部の取引先は従来の支払方法を続け、一部はでんさいに切り替えるという状況が発生する可能性が高いです。
そのため、会計処理の方法が増え、ミスが生じやすくなるというデメリットがあります。
このような混在期間を乗り越え、全ての取引先がでんさいに切り替わると、そのメリットを最大限に享受できるようになりますが、そのためにはしっかりとした体制整備が不可欠です。
システム利用料・手数料がかかる
でんさいの利用には、取引ごとに金融機関へ支払う手数料が発生します。
これらの手数料は軽視できず、コストとして考慮する必要があります。
例えば、手形や売掛金が発生した際には、それをでんさいネットに記録するための「発生記録手数料」がかかります。
この手数料は銀行の振込手数料と比較しても安価ではないため、でんさいを使用する際のデメリットの一つとなります。
でんさいの手数料は窓口金融機関(銀行など)によって異なりますが、目安は以下の料金です。
支払企業側の手数料
- 変更記録手数料:440円
- 支払等記録手数料:440円
受取企業側の手数料
- 決済手数料:220円
- 保証記録手数料:440円
- 発生記録手数料:440円~770円
導入後は会計処理手続きの変更が必要
でんさいを取り入れる際は、会計処理の手順を変更する必要があります。
売掛金を例にとると、従来は売掛金を計上し、入金があった時点で仕訳を行っていました。
しかし、でんさいを使用すると、売掛債権を「電子記録債権」として新たに仕訳する必要が生じます。
この仕訳は、でんさいネットから「売掛金に関する債権が発生した」という通知を受けた時に行います。
この変更は、社内の業務フローや決算書の記載内容にも影響を及ぼすため、注意が必要です。
手形の場合は貸し倒れリスクが残る
でんさいで債権を譲渡した後に支払企業が支払不能(不渡り)となった場合、利用者が保証人となり支払い義務を負います。これは手形取引のデメリットと同じです。
手形は、他社に譲渡して資金を調達する手段ですが、手形を振り出した企業が経営破綻するなどして手形を現金化できないリスク、すなわち「不渡り」のリスクがあります。
不渡りになれば、手形を譲渡した会社は譲受企業に対して代金を支払う必要が出てきます。
これを回避するためには、貸倒引当金の計上が必要です。
でんさいでも同様のリスクが存在し、貸倒引当金を計上する必要があります。
でんさいのメリット・デメリットを解説 まとめ
本記事では、でんさいを導入するメリットを支払企業と納入企業別に解説。でんさいが抱えるデメリットについても解説しました。
約束手形は2026年末までに廃止される予定のため、代替案が無い場合はでんさいを使うことになる企業は多いでしょう。
手数料やシステム利用料などを含めたメリット・デメリットを理解し、適切なタイミングでシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。