
偽装ファクタリング業者から過払い金を取り戻そう
最近、中小企業や個人事業主ができる資金調達方法としてファクタリングが注目されています。しかしそのファクタリング、業者によっては高額な手数料を請求されることも。
そのような業者は本来のファクタリングではなく、偽装ファクタリングです。支払いすぎた手数料は、過払い金なので取り戻すことができます。
この記事では、ファクタリング過払い手数料を取り戻すために知っておくべきことを解説していきます。
ちなみに以下の記事で、ファクタリング過払い金返還請求専門の弁護士事務所を紹介しています。
ファクタリングの98%は偽装!?
イストワール弁護士事務所いわく、現在のファクタリングは98%が偽装業者であるとのことでした。
どういうことか詳しく聞くと、法律的な側面からその内容が明らかになりました。
まず正規のファクタリングは売掛先、ファクタリングを利用する会社、ファクタリング会社の3社間の合意があり、且つ買い戻し契約が前提ではないものだということです。
つまり、現在利用が進んでいるファクタリング利用会社とファクタリング会社による2社間ファクタリングは全て偽装ファクタリングにあたるということ。
偽装ファクタリングは不当原因給付にあたるため、利得である「手数料」は返還しなければなりません。
ただ、実際の裁判の判例を見ていると過払金の返還請求が認められた場合と認められなかった場合があります。
どのようなポイントが違っていて認否の差が出たのか以下で解説していきます。
ファクタリング過払い金請求の実際の判例
2社間ファクタリングが偽装ファクタリングとは言っても、和解できなければ最終的に過払い金の返還請求が通るかどうかは裁判によって決まります。
裁判では、ファクタリング会社との契約実態に争点が置かれます。
それでは、まず過払い金の返還請求が認められなかった判例から見ていきましょう。
東京地判平成27年5月21日
この判例は、2社間ファクタリングでファクタリングを利用した企業がファクタリング会社に対して利息制限法の上限を超えた分の手数料の払い戻しを求めたものです。
結果は、過払い金の返還請求は認められませんでした。
この裁判で争点になったのは、ファクタリング契約が消費貸借契約と言えるのか、それとも単純に債権売買なのかという点。
結果として消費貸借契約とは認められなかったのには、契約書に「売買」と明記されていたことと、ファクタリング会社が償還請求権を放棄していたことがあげられます。
償還請求権とは、ファクタリング会社が売掛債権を買い取った後で売掛先が倒産した場合に損失分を債権を売却した企業に請求することができる権利。
契約に償還請求権を付与すると、担保を用意しているのと同意のため消費貸借契約とみなされます。上記のファクタリング契約では、償還請求権がなかったために単純な売買契約とみなされ、結果的にファクタリング会社側が勝ったと言えるでしょう。
このように、ファクタリングの過払い金返還請求が通らないこともあります。それでは、続いて大阪地方裁判所での判例を見ていきましょう。
大阪地判平成29年3月3日
この裁判は、上記東京地判と同じ2社間ファクタリングで過払い金の返還を求めたものです。
結果から言うと、こちらの裁判では過払い金の返還請求が認められました。
東京地判との違いは、ファクタリングを利用した会社が債権を買い戻すことが前提であったこと。
ファクタリング利用企業が債権を買い戻すことが前提ということは、ファクタリング会社は一切のリスクを負っていないということです。
消費貸借契約でなく売買なのであればリスクがあって然るべきであり、そのリスクがない状態で利息制限法の上限をはるかに上回る手数料を得ていると判断されました。また、「買戻し」が消費貸借契約の要素である「返還合意」だとし、利息制限法の類推適用が認められました。
その結果、過払い金の返還請求が認められ、ファクタリングを利用した会社に手数料が戻ってきたのです。
このようにファクタリングの手数料を過払い金として返還させることもできるのです。しかし、今回紹介したように必ず返還されるとは限りません。
そこで、次項でファクタリング過払い手数料の返還ができるかどうかのポイントを改めてまとめていきます。
手数料を取り戻すための2つのポイント
ファクタリングの高い手数料が戻ってくるということは、減ってしまった利益が戻ってくるのでかなり嬉しい話ですよね。
ここでは、ファクタリングにより発生した過払い金を取り戻すためのポイントを2つ解説していきます。
2社間ファクタリング
正規のファクタリングはあくまで買戻しが前提ではない3社間ファクタリングです。
弁護士によっては2社間ファクタリング自体が偽装ファクタリングであり、過払い金の返還請求が可能であると判断しています。過去に2社間ファクタリングを利用したことがあるのであれば、弁護士に相談してみることをおすすめします。
保証がついている
契約になんらかのファクタリング会社が有利になる保証がついていると、消費貸借契約とみなされ過払い金を取り戻せる可能性が高くなります。
ファクタリングはあくまで売買契約であるため本来であれば保証はなく、ファクタリング会社はリスクを負わなければなりません。
保証の種類としては、個人保証、償還請求権、買戻し前提の3つ。
上記2つのうちいずれかが当てはまっていれば過払い手数料の返還請求が認められる可能性が大いに高まるので弁護士に相談してみましょう。
どちらも、過払い金の返還請求をするには充分な理由となります。そして、過払い金の返還請求の相談を依頼するのであれば、なるべく司法書士ではなく弁護士にしましょう。
過払い請求は専門の弁護士に依頼しよう
弁護士は費用が高い、司法書士は安いというイメージを持っている人も多いですが、「司法書士=安い」とは限りません。
また司法書士は140万円以下の民事事件しか扱うことはできません。ファクタリングの過払い金返還請求では140万円を超える案件もあります。
より確実な方を選択するべきと言えるでしょう。
まとめ
今回は、偽装ファクタリングについて、またファクタリング手数料の過払い金返還請求について解説してきました。
ファクタリング会社の数は年々増えていますが、その中には悪質な会社もあります。悪質な会社はもちろん手数料も高額であり、自社にリスクのかからないような実質貸金業と言えるファクタリングをしているのが実態。
そもそもそんな会社を利用しないことが重要ですが、利用してしまった場合に支払った手数料は過払い金です。
しっかりと弁護士を立てて過払い金の返還請求を行いましょう。