「日本政策金融公庫で否決の場合どうしたらいい?」
「否決の連絡は早い?面談前に否決されたら?」
「日本政策金融公庫で否決の連絡は電話で来る?」
公庫の融資審査で否決の場合は、再度審査に申し込むために準備を進めたり、他の資金調達手段を考えたりする必要があります。
本記事では日本政策金融公庫の審査で否決の場合の対処法や、審査通過のコツなどを解説します。
日本政策金融公庫の融資審査を受け、結果が気になっている方、審査に落ちて対処法を探している方はぜひ参考にしてください。
目次
日本政策金融公庫で否決だった場合の対処法
日本政策金融公庫の融資審査で否決の場合、次の対処法を検討しましょう。
日本政策金融公庫の融資は、金利も低く返済期間も比較的長いため、長期的な資金調達に適しています。
ここで紹介する対処法の中には、短期的な資金調達に適しているものも含まれますが、検討してみてください。
2回目の融資審査を受ける
日本政策金融公庫の融資審査は、一度落ちた(否決)としても、再審査を受けられます。
ただし、前回落ちた理由が総合的に解消されている必要があります。
公庫は、審査結果の理由を明確に伝えないケースも多く、再審査は初回より厳しくなる傾向があります。
そのため、前回落ちたときの申し込み内容を振り返り、改善すべき点を洗い出すことが重要です。
たとえば、ベンチャーキャピタル(VC)向けと同じ事業計画書を提出していたのであれば、作り直すべきです。
融資を受けるには、VCにウケのいい「将来的に莫大な収益を上げる」事業計画書よりも、将来確実に返済できる見込みが書かれた「堅実な」事業計画書の方が好まれます。
この他にも自己資金や代表者の経歴と事業の関連性、個人信用情報などを見直し、改善すべき問題を解消してから2回目の審査に臨みましょう。
信用金庫からの融資
日本政策金融公庫の融資審査に落ちたら、信用金庫から融資を受ける方法があります。
信用金庫は中小企業向けの融資をしている非営利団体です。信用金庫の融資にも審査はありますが、銀行に比べると甘い傾向にあります。
また、審査を通りやすくする方法として信用金庫の会員になるという方法があります。
信用金庫の営業区域内に住んでいる等の会員資格を満たし、且つ一定額以上を出資(10,000円)した者が会員になれます。
借入条件もそこまで厳しくないのでおすすめです。
ファクタリング
日本政策金融公庫の融資審査に落ちたら、ファクタリングを利用する方法もあります。
売掛債権をファクタリング会社に売却して資金調達できるサービスで、入金される予定の請求書に記載された額面を最短即日で現金化できます。
ファクタリングは、借入ではなく売掛債権を売却するだけなので赤字や債務超過があっても審査に通ります。
ファクタリング会社が審査の際に見るのは売掛先の支払能力です。
また、借入とは違い負債にならないので会社の信用情報に傷が付くこともありません。
緊急で資金を必要としている人に特におすすめの方法です。
なお、総合的に評価されている人気のファクタリング会社については、ファクタリングおすすめランキングにて詳しく解説しています。
ビジネスローン
日本政策金融公庫の融資審査に落ちたら、ビジネスローンを利用する方法もあります。
ビジネスローンは大手銀行や地方銀行が中小企業向けに提供している事業性の無担保ローンです。
不動産などの担保なしで最大1,000万円程度を借入できます。
金利は日本政策金融公庫や銀行融資、信用金庫などに比べると高めですが、その分審査は甘い傾向にあります。
ビジネスローンもファクタリングと同じく素早い資金調達が可能なので、融資実行までの期間が長い、時間がなく資金繰りが厳しい場合は視野に入れてみるのもよいでしょう。日本政策金融公庫の審査で否決の場合、連絡は早いのか?
「日本政策金融公庫の融資審査で否決の場合の連絡は早い」
「2~3日経過しても連絡が来なければ審査通過の可能性が高い」
上記のような噂があるようですが、融資審査はケースバイケースのため、すぐに連絡が来ないからといって審査通過しているとは限りません。
審査を進める中ですぐに「厳しい」と判断されれば、公庫の担当者も速やかに否決の連絡を入れるでしょう。
しかし「じっくり審査した結果、否決になる」ケースもあるため、連絡が遅い=合格と決めつけるのは早計です。
日本政策金融公庫で面談前に否決されたら?
日本政策金融公庫の融資審査で面談前に否決されたら、ほぼ書類の内容で落ちたと考えてよいでしょう。
公庫の審査では、代表者の経歴や自己資金、事業計画が重点的に見られます。
上記から「事業を軌道に乗せ、問題なく返済できそうか」を見るのです。
具体的には、起業する事業内容が「代表者が長年経験してきた業務と関連性が高いかどうか」が重視されます。
通過率の高い例と低い例を紹介します。
公庫の審査に通過できるかどうかは面談ではなく、面談前の書類などで7~8割がた決まるといっても過言ではありません。
「書類が不十分でも面談で挽回できる」とは考えず、入念に準備して審査に申し込みましょう。
日本政策金融公庫の審査に落ちる理由
日本政策金融公庫の融資審査に落ちる主な理由は以下の通りです。
日本政策金融公庫の融資審査は甘い傾向にあるとはいえ、準備を怠ると落ちてしまう可能性もあります。
自己資金不足
審査落ち理由の1つ目は、自己資金不足です。
創業融資では、代表者自身が準備期間に貯めた資金が評価対象になります。
日本政策金融公庫での審査では、起業や開業時に必要な自己資金の割合が重要な判断基準になります。
事業が安定するまでの期間は、返済の負担を考慮して十分な資金を確保しておく必要があります。
過去の融資データによると、自己資金は創業に必要な資金全体の約30%が望ましいとされています。
事業計画書の中身
審査落ち理由の2つ目は、事業計画書の中身です。
審査で最も重視されるのは事業計画書です。事業計画に疑問点があれば、不利な結果を招く可能性があります。
事業計画書に記載するべき内容は、以下の4つです。
- 全体の構想、事業イメージ
事業の目標を明確にし、市場規模や将来性に関する調査を行い、その妥当性を示します。 - 具体的な事業内容
具体的にどの商品を扱うのか、商品の独自性や市場ニーズへの適合性を説明します。 - 創業時の資金計画
創業時に策定した資金計画が必ずしも順調に進むわけではありません。融資が受けられない場合や、設備投資の方法を検討することで、計画性をアピールします。 - 収支計画
創業後、速やかに事業が軌道に乗るまでの期間や収支計画、そしてその後の計画を立てます。
上記に不備があると、審査で不利になる理由となり得ますので、入念に準備しましょう。
代表者の経歴
審査落ち理由の3つ目は、代表者の経歴です。
新創業融資の審査においては、代表者の職歴及び経験が、起業する事業とどのように連携しているかが重要とされています。
開業を計画している事業領域での経験が不十分であると判断された場合、不利な評価を受けることがあります。
可能な限り、代表者がこれまでに培った能力を活かせる事業領域に注力した事業計画をもとに、融資の申請をすることをお勧めします。
また、一度の否決から次の融資審査までの期間内に十分な経験を積んでいなくとも、審査に合格する可能性はあります。
職歴や経験のみならず、事業計画や自己資金の面で大幅な改善が見られた場合や売上実績を積めていれば、再審査に通過できることがあります。
融資希望額が多い
審査落ち理由の4つ目は、融資希望額の多いことです。
事業に対して不釣り合いな額の融資を求めると、審査担当者に疑念を抱かれることがあります。
たとえば運送業を開業する際、400万円の自己資金を元に800万円の追加融資を申し込む場合があったとします。
審査担当者は、「何に1,200万円もの資金が必要なのか」と疑問に思うため、理由を明確に答えられる必要があります。
融資希望額は、事業計画に必要な最低限の範囲で申請することをお勧めします。
面談
審査落ち理由の5つ目は、面談内容です。
面接において担当者の信頼を獲得できなければ、他の要素が優れていても意味をなさなくなります。
面接時には、服装、態度、話し方などの社会人基本のマナーを守ることは基本です。
さらに、面接時には事業計画やビジョンを明確に説明できるように準備しておきましょう。
個人の信用情報
審査落ち理由の6つ目は、個人の信用情報です。
日本政策金融公庫による融資審査では、申請者の信用情報が検証されるのが一般的です。
ローンやクレジットカードの支払い遅延や滞納といった金融事故の情報、税金や公共料金の未払いの情報は信用情報機関を通じて共有されています。
支払い義務を履行していない状態は、融資を行う側にとっては、信頼性に関する大きな問題です。
特に税金や公共料金は、開業後も継続して支払う必要があるため、その重要性はさらに高まります。
もし軽微な問題がある場合は、速やかに個人信用情報を確認し、問題が生じた借入の返済を行い、状況を改善しましょう。
日本政策金融公庫の審査に受かるコツ
日本政策金融公庫の審査に受かるコツを紹介します。
一度審査落ちしてしまったからといって、日本政策金融公庫の融資を諦める必要はありません。
審査落ちした人でも、半年待てばもう一度申し込みをすることができます。
上記コツを確認して再審査に臨みましょう。
使途を明確にする
日本政策金融公庫からの融資を受ける際には、資金の使用目的を明確にし、担当者に伝達できることが重要です。
「どのような用途でどれほどの金額を使用するのか」
「なぜその用途に資金が必要なのか」
「その融資により企業の業績は改善されるのか」
このように、資金の使途が不明瞭な場合、融資は難しくなります。
審査時、担当者はこれらの質問に対して即答できるかどうかを評価します。
日本政策金融公庫側も、安心して資金を提供したいと考えています。
いざというときにも応答できるように準備しておくことが肝心です。また、情報をスムーズに伝えることで信頼を築き、計画性のある姿勢を示すことができます。
日本政策金融公庫の担当者と信頼関係を築く
日本政策金融公庫の融資審査の際には、担当者が一人割り当てられます。
担当者との良好な信頼関係を構築し、支持を得ることで、審査の手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
信頼関係を基盤に担当者が、決裁を行う上司へ効果的に内容を伝えられるよう、簡潔かつ明確に説明することが重要です。
事業計画書や説明が過度に長くなると、担当者が上司へ適切に情報を伝達するのが難しくなる場合があります。
分かりやすさと事業内容の確実性を両立させて伝達しましょう。
100万円程度の少額で申し込む
日本政策金融公庫からの融資を初めて受ける際、大きな金額の融資を突然申し込むと、審査で不合格となる確率が高まります。
はじめに、100万円程度の小規模な融資で実績を作ることが望ましいです。
借入の実績を構築することにより、次回の借入時に審査に合格しやすくなります。
他の金融機関も同様で、借入を重ねる毎に信用が向上します。大規模な借入を目指すならば、融資希望額を徐々に増加させていくのが良策です。
また、日本政策金融公庫で借入実績を築くことは、他の金融機関の融資審査にも好影響を及ぼします。
日本政策金融公庫との取引は長期的な視野に立って行うことが重要です。
融資サポートを利用する
日本政策金融公庫の融資で確実に審査通過したい、希望額満額を調達したい場合は、融資サポートの利用も検討しましょう。
融資サポートは一部の税理士や会計士、行政書士事務所などが行っており、事業計画書作成のアドバイスや代行、面談のアドバイスや同席といったサービスを提供しています。
費用は成功報酬型だと2%~5%が相場ですが、準備コストを削減し、融資の成功率と調達額をアップさせられると考えれば、安いといえるかもしれません。
日本政策金融公庫の審査は甘い?概要を解説
「日本政策金融公庫の新創業融資は審査が甘い」といわれるのは、日本政策金融公庫が政府系金融機関であることに由来しています。
日本政府は開業率を欧米並みに近付けようという方針に沿って、他の民間金融機関に比べて積極的にリスクを取り、起業間もない企業への融資を行なっているのです。
このことから、日本政策金融公庫の融資審査は民間金融機関の融資審査と比較すると甘いといえるでしょう。
ただし「銀行などの民間金融機関よりは甘い傾向にある」ものの「ビジネスローンなどよりは厳しい傾向がある」といえますので、しっかりとした準備期間が必要です。
ここでは日本政策金融公庫の新創業融資の特徴と概要を以下のポイントに沿って解説します。
- 自己資金が必要
- 融資限度額
- 金利
- 返済期間
しっかりと準備をして融資を成功させましょう。
自己資金が必要
日本政策金融公庫の新創業融資では創業1期を終えていない場合は、原則的には調達額の10分の1以上の自己資金が必要です。
つまり500万円借りたい場合は、50万円以上の自己資金が必要になります。
一定の条件を満たす場合は自己資金なしで申し込みできますが、審査上は自己資金があった方が有利に働きます。
起業準備期間にしっかりと自己資金を確保しておきましょう。
融資限度額
日本政策金融公庫の新創業融資の限度額は、以前の1,500万円から3,000万円(うち運転資金1,500万円)に引き上げられました。
ただし、新創業融資の無担保無保証枠の支店決済額は1,000万円です。担保がない限り原則的には「新創業融資は1,000万円まで」と考えておきましょう。
なお日本政策金融公庫の公表しているデータによると、創業期の融資1件あたりの平均額は約400万円です。
金利
2022年4月1日現在、日本政策金融公庫の無担保無保証融資の基本金利は2.33%から3.00%です。
この金利は制度や借りる人の性別や年齢に応じて割引が可能です。
東京都の融資よりは一般に低くなりますが、区市町村の制度よりは自己負担が多くなることがあります。
返済期間
日本政策金融公庫の新創業融資の返済期間は、使途が運転資金か設備資金かによって異なりますが、目安は以下の通りです。
- 運転資金:7年以内
- 設備資金:10年以内
上記はあくまで目安ですが、返済期間として覚えておきましょう。
日本政策金融公庫の審査に関してよくある質問
日本政策金融公庫の融資審査に関してよくある質問と回答を紹介します。
日本政策金融公庫の審査で否決の場合、電話はきますか?
日本政策金融公庫の審査で否決の場合、電話または郵送で連絡が来ます。
面談→電話連絡→書類通知、という流れが一般的です。
起業・開業すぐですが審査に落ちたりしませんか?
日本政策金融公庫の新創業融資は起業・開業間もない状況でも利用可能です。
具体的には、創業2期未満であれば利用対象となります。
日本政策金融公庫の審査の流れと必要な書類は?
日本政策金融公庫の創業融資の流れは次の通りです。
- 申請書の提出
- 必要書類の準備
- 面談
- 審査・調査
- 融資決定
上記の流れに沿って審査が行われ、問題なければ資金が入金されます。
新型コロナウイルス感染症特別貸付の条件は厳しいですか?
新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用するための条件は、日本政策金融公庫のサイトに詳しく記載されています。
日本政策金融公庫の追加融資の審査で受かるコツは?
日本政策金融公庫の追加融資の審査に受かるためには、以下の点が重要です。
- 返済実績があること
- 返済の遅延がないこと
- 税金を滞納していないこと
なお、状況により借入残高が残っている場合は追加融資を受けられない場合もあります。
信用情報を自分で確認できますか?
信用情報機関に開示申し込みを行えば、自身の信用情報を確認することが可能です。
下記のCICやJICCのサイトから申し込むことで、信用情報を確認できるでしょう。
参考:開示を申し込む | 開示サービス | 日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
日本政策金融公庫で否決の場合は? まとめ
この記事では、日本政策金融公庫の審査について紹介してきました。
否決だった場合の主な対処法は以下の通りです。
- 再度申し込むために準備する
- 信用金庫の融資に申し込む
- ファクタリングを利用する
- ビジネスローンを利用する
日本政策金融公庫は国が出資し設立した金融機関。
基本的に、中小企業や起業家の味方です。一度落ちてしまった人でも条件を満たせば審査に通ります。
また、日本政策金融公庫で借入の実績を作っておくことで他の融資審査にも通りやすくなります。
そうなれば資金調達も円滑になり、目の前の企業活動に集中することができます。
今後のためにも、万全の準備をして必ず融資を成功させましょう。